西日本自然史系博物館ネットワークと大阪市立自然史博物館では、オンライン講演会「3Dデータ・3Dプリンタ活用による博物館ユニバーサル化の可能性」を下記のとおり開催します。JST-RISTEX事業の助成を受けて開始されたプロジェクトである3D4SDGsでは、視覚障害者のみなさんの利用を想定した3Dデータの作成や3Dプリンタによる模型の作成・配布、作成した模型を用いた触察ワークショップ、直接触ることのむずかしいものを模型化・配布してそれについて楽しく解説するシンポジウム、3Dデータの作成や3Dプリンタによる模型作成の実習など、意欲的な活動を行っています。博物館に関わる皆さんとって、大いに参考になると思われます。ご参加お待ちしております。
オンライン講演会「3Dデータ・3Dプリンタ活用による博物館ユニバーサル化の可能性」
日時:2025年1月10日(金) 午後1時~3時
方法:オンライン配信(Zoom)
申込サイトよりご登録ください(直前まで可能):https://zoom.us/meeting/register/tJItc–hqzoiG9I7uek4QXonjuKCLuoz_gOk
主催:西日本自然史系博物館ネットワーク、大阪市立自然史博物館
この事業はInnovate Museum事業の一環として開催します。
講演1:3D4SDGsの活動: 誰もが知りたいもの、必要なものを自由に手に入れ、触れられる社会の実現に向けて
我々は、科学技術振興機構(JST)の「SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム」の支援で5年間にわたり「『誰もが知りたいもの、必要なものを自由に手に入れ、触れられる社会』の創成に向けた、3Dモデル提供体制の開発と実装」という研究プロジェクトを実施してきました。 このプロジェクトでは3Dプリンタを活用して模型を製作し視覚障害者をはじめとする人々に知識・情報・文化に触れる機会を提供する体制構築を進めてきました。 活動の中には、模型に触れるオンラインシンポジウムや触って分かりやすい模型を製作するための研修会など、博物館のユニバーサル化のヒントとなりそうなものが多く含まれます。本講演ではこれらの活動を題材にして視覚障害者をはじめとする多様な人々が訪れたくなるような博物館作りについて一緒に考えてみたいと思います。
講師:南谷和範 氏((独)大学入試センター 研究開発部・教授)
講師プロフィール:大学入学共通テストを実施している大学入試センターで、障害のある受験者のための試験環境の整備を研究しています。私自身が視力0の視覚障害者ということもあり、近年は視覚障害者の知識や文化へのアクセスの充実についての研究も進めています。その一環として3Dプリンタを活用して触って楽しむことのできる模型作りを推進しています。
講演2:「ふれないでください」を「手にとってご覧下さい」に ― 触る模型制作の実践
見えない、見えづらい人は、言葉で説明されるだけではものの形や仕組みが分からないことが多いです。そこで、知りたいものの模型を作り、触ってもらうことで、理解してもらおうというプロジェクトを南谷さんとともに進めてきました。その実践をご紹介します。博物館のユニバーサル化って何をしたらいいか分からない、展示物全てを模型にしないといけないの?などと身構えないで、まずはできるところから始めて、観覧者とともに変えていく一助となれば幸いです。
講師:渡辺 哲也 氏(新潟大学工学部・教授)
講師プロフィール:障害者の就労・教育を支援する研究所を経て、現在、新潟大学工学部でICTを活用した障害者支援に関する研究開発に従事。近年の主な取り組みは、視覚障害者向けの触る地図、触る星座、触る模型の制作とその普及活動。