博物館の収蔵庫には多数の資料が保管されているが、展示に活用される標本は一部であり、多くは自由に閲覧できない状況にあります。このため、資料のデジタル画像化とアーカイブは博物館資料の活用範囲を広げる重要なツールとなっています。最近では、デジタル機器の高度化と簡便化によって、既製品の安価なデジカメにより高精細のデジタル画像を取得できるようになりました。植物標本などの平面的なものでは得られる情報が多いのですが、動物などの立体的な構造を有する標本では、あらゆる角度から観察できる3Dデジタル画像が資料の全容を理解するうえで効果的です。しかし、3D画像の取得には、いまだ一定の技術が要求されると同時に、スマホや安価で高精細な撮影が可能な機器が市場に出回るようになり、撮影した3D画像を無料で閲覧・活用できる共有ポータルサイトも登場しています。また、3D画像を取得することで、3Dプリンターから出力して、展示用のハンズオン標本などを容易に制作できます。こうした技術の進展に合わせて、3D画像を用いて博物館資料の発信や活用に関する方法について、基礎から実習を通じて学ぶ講座を博物館学芸員や教育従事者を対象として開催します。できる限り、汎用的で安価な機器を用いて、博物館資料の3D画像の撮影と活用ができる人材を増やし、博物館業界全体で、こうした3D画像を数多く共有できることを目指します。
今回の実習では、スマートフォンおよびポータブル3Dスキャナーを用いた撮影(実習)、Blenderによる簡易編集(紹介のみ)、Matterport撮影データの編集とUnityを用いた3Dオブジェクトの埋め込みによる仮想展示技術(実習)、3Dプリントの実演を行います。
なお、この講習会は「文化庁 令和6年度文化芸術振興費補助金(Innovate MUSEUM事業)」の助成を受けて開催し、博物館法改正(令和4年度)において新たな重点課題として位置づけられた「デジタルアーカイブの作成と公開」および「学芸員等の人材の養成・研修」に対応するものです。
研修日時
2025年2月14日 13時30分~17時まで (全国科学博物館協議会の終了後)
場所
兵庫県立人と自然の博物館 コレクショナリウム
〒669-1546 三田市弥生が丘6丁目
主催・共催
主催 NPO法人西日本自然史系博物館ネットワーク、兵庫県立人と自然の博物館
対象と定員 学芸員および博物館関係者 20名 (多数の場合は見学のみ可能)
内容 2月14日 13時30分~17時00分(掲載当初15日と誤記がありましたお詫びして訂正します)
- 3D撮影に関する基礎説明
- スマートフォンおよび携帯式3Dスキャナーによる3D標本撮影
- 3D撮影データの編集とWEBへのアップロード(Sketchfab)
- Matterport撮影データへの3Dオブジェクトの配置と仮想展示
(BlenderおよびUNITYを用いた実習)
- 3D撮影データを用いた3Dプリンターへの出力
- 展示活用に関する意見交換
講師:兵庫県立人と自然の博物館 三橋弘宗
株式会社 ニシムラ精密地形模型 大菊 健太
参加費 無料
参加条件 ノートパソコンおよびスマートフォン持参のこと
■申し込み方法
GOOGLE FORMにて登録 (先着順)
https://forms.gle/uMh4Z1Y5UtYXc6WH9
■問い合わせ先
NPO法人西日本自然史系博物館ネットワーク 事務局 三橋弘宗
*内容は、兵庫県立人と自然の博物館三橋弘宗(hiromune@hitohaku.jp)迄